Movie Review
ハウスオブダイナマイト
『ハウス・オブ・ダイナマイト』という映画は、アメリカに核爆弾、正確には核ミサイルが撃たれたという情報から始まる。そこから、アメリカの防衛機関や政府の中枢が一気に混乱していく様子を描いた作品になっている。
この映画の面白いところは、同じ出来事を三つの視点から描いているところだと思う。ひとつは、防衛に関わる省庁の現場に近い人たちの視点。もうひとつは、その上層部の視点。そして最後に、大統領の視点。この三つの層に分かれていて、それぞれ重なる部分もあるんだけど、視点が変わることで、少しずつ状況の全体像が見えてくるような構成になっている。
物語としては、まずアメリカに向けて核ミサイルが撃たれたことが分かる。ただ、どこから撃たれたのかは分からない。アメリカには迎撃システムがあるので、当然それを使って止めようとする。デフコンが上がって、迎撃の手順に入っていくんだけど、そこで問題になるのが、迎撃弾をどう使うのかという判断だ。
アメリカの迎撃システムには、撃てる弾の数に限りがある。しかも、後続のミサイルが来る可能性もあるから、全部を一気に使うわけにはいかない。だから、とりあえず二発を撃つという判断になる。ただ、その判断を誰がするのか、どのタイミングで決めるのか、そこにもかなりの緊張感がある。
そして、その二発の迎撃弾にみんなが望みを託して見守る。でも、結果として迎撃は失敗してしまう。迎撃に失敗すると、もうそのミサイルは宇宙空間に抜けてしまって、そこから追加で迎撃しても間に合わない。つまり、核ミサイルがアメリカ本土に着弾してしまうことが、ほぼ確定してしまう。
その事実が現場にも上層部にも伝わっていく。着弾地点はシカゴで、もし本当に落ちれば、1,000万人規模の人が死ぬ可能性がある。ここから、この映画は単なるミサイル迎撃の話ではなくなっていく。じゃあ、誰が撃ったのか。中国なのか、ロシアなのか。それとも別の国なのか。まだ確証が持てない中で、アメリカは報復として核を撃ち返すのか、という話になっていく。
大統領の視点では、その苦悩がかなり強く描かれている。シカゴで1,000万人が死ぬかもしれない。でも、攻撃元が分からない。そんな状況で、報復として核攻撃をするのか。もし間違っていたら、それこそ全面的な核戦争になってしまう。けれど、何もしないという選択もまた、国家として許されるのか。そこの判断を迫られるのが、この映画の一番重いところだと思う。
この映画が描いているのは、核攻撃そのものの怖さだけではないと思う。むしろ、核を防ぐためのシステムがあると言っても、それが絶対ではないということ。迎撃システムがあっても、成功するかどうかはかなり不確かで、結局は失敗する可能性もある。防衛システムがあるから安心、というわけでは全然ない。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』は、核兵器の怖さ、防衛システムへの過信、そして国家のトップが極限状態で判断を下さなければならないことの重さを描いた映画だと思う。核ミサイルが本当に撃たれたとき、国は冷静に判断できるのか。そして、自分たちはどれだけ不確かなシステムに命を預けているのか。そういうことをかなり強く考えさせられる作品だった